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posted by: - | 2009.08.06 Thursday | |
細川さんのメガリージョンの書評
JUGEMテーマ:ビジネス

『エコノミスト』  誌につぎの書評を載せてもらいました。もうだいぶ前です。

細川昌彦著『メガ・リージョン――人材・企業の争奪戦にどう勝利するか』東洋経済新報社。(評者 金井壽宏)


 境界を越えることにより、新たなつながりを見出し、そのつながりのなかから、自分の独自性に気付き、より大きなシステムに貢献できる姿に育て上げる。こんな大事な発想を企業の発展だけに使うのはもったいない。地域や国の発展にも今、人やモノをつなげる力が求められている。それだけに境界と境界を結ぶ存在、いわば“結界人”が求められる時代になっている。

 著者は、通産省の官僚だった25年前に「東京国際映画祭」を仕掛けた人物である。その後、名古屋経済圏を統一ブランドとして海外に売り出す「グレーター・ナゴヤ・イニシャティブ」を提唱、さらにニューヨークで「日本食文化フェスティバル」を手掛けるなど、世界に向けて日本を発信してきた。本書は著者が結界人となることで生まれたと言っていいだろう。

 表題の「メガ・リージョン」とは、「大都市を中核とした1つの経済圏」のことで、カリフォルニアのシリコンバレーをはじめ、世界には40のメガ・リージョンがあるという。著者は、今後は国ではなく、こうした地域間の大競争時代になると予測し、海外の動向と日本の4大メガ・リージョン──東京、名古屋、京阪神、北部九州圏の可能性を探る。

 行政、地域、ビジネスの3つを有機的に結びつけ、広域経済圏を作るという発想は、集積の経済やソーシャル・ネットワーク論などに詳しい人には、おなじみの概念かもしれない。しかし評者は、著者が特定の視点にこだわるより、実践に役立つかという観点から、「虫の目、鳥の目、魚の目」(あとがき)を駆使しつつ、複眼的思考をしていること、そして思考するだけでなく、実践していることを重んじたい。

 それだけに本書の主張は説得的である。たとえば、日本の自動車産業の中心地、名古屋については、「『内なる国際化』が遅れている」と指摘。将来は「アジアの技能人材を育成する拠点」を目指し、ポスト自動車の布石としては航空機産業とロボット産業に着目せよと述べる。九州についても、工業地域として伸び悩む北部の課題を明らかにする一方、南部が一丸となって安全な食品を売り出す「食アイランド・九州」を提案。企業や人材の獲得法にも章を割き、「大学学長のプロ野球監督化」や外国人に優しい地域づくりなど、有益な提言をしている。

 地域に根ざしながら、ワールドクラスの活動を目指す実践家、またそれを支える調査を担う研究者に必携の書である。



★実際に掲載されたのとは、違うつぎのバージョンもあります。


 境界を越えることにより、新たなつながりを見出し、そのつながりのなかから、自分の独自性に気付き、より大きなシステムに貢献できる姿に育て上げる。こんな大事な発想を企業の発展だけに使うのはもったいない。地域や国の発展にも今、人やモノをつなげる力が求められている。それだけに境界と境界を結ぶ存在、いわば“結界人”が求められる時代になっている。

 著者は、通産省の官僚だった25年前に「東京国際映画祭」を仕掛けた人物である。その後、名古屋経済圏を統一ブランドとして海外に売り出す「グレーター・ナゴヤ・イニシャティブ」を提唱、さらにニューヨークで「日本食文化フェスティバル」を手掛けるなど、世界に向けて日本を発信してきた。本書は著者が結界人となることで生まれたと言っていいだろう。

 表題の「メガ・リージョン」とは、「大都市を中核とした1つの経済圏」のことで、カリフォルニアのシリコンバレーをはじめ、世界には40のメガ・リージョンがあるという。著者は、今後は国ではなく、こうした地域間の大競争時代になると予測し、海外の動向と日本の4大メガ・リージョン──東京、名古屋、京阪神、北部九州圏の可能性を探る。

 行政、地域、ビジネスの3つを有機的に結びつけ、広域経済圏を作るという発想は、集積の経済やソーシャル・ネットワーク論などに詳しい人には、おなじみの概念かもしれない。しかし評者は、著者が特定の視点にこだわるより、実践に役立つかという観点から、「虫の目、鳥の目、魚の目」(あとがき)を駆使しつつ、複眼的思考をしていること、そして思考するだけでなく、実践していることを重んじたい。

 それだけに本書の主張は説得的である。たとえば、日本の自動車産業の中心地、名古屋については、「『内なる国際化』が遅れている」と指摘。将来は「アジアの技能人材を育成する拠点」を目指し、ポスト自動車の布石としては航空機産業とロボット産業に着目せよと述べる。九州についても、工業地域として伸び悩む北部の課題を明らかにする一方、南部が一丸となって安全な食品を売り出す「食アイランド・九州」を提案。企業や人材の獲得法にも章を割き、「大学学長のプロ野球監督化」や外国人に優しい地域づくりなど、有益な提言をしている。

 地域に根ざしながら、ワールドクラスの活動を目指す実践家、またそれを支える調査を担う研究者に必携の書である。

posted by: 金井壽宏 | 2009.07.03 Friday | 18:34 |
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posted by: - | 2009.08.06 Thursday | 18:34 |