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posted by: - | 2009.08.06 Thursday | |
リーダーシップ・クイズ開発に乗り出す高橋潔さんにエール
  高橋 潔さんが、英国エディンバラでの1年、古巣のミネソタ大学のある米国ミネアポリス(かの3Mの本社もある都市)のPDI社−−産業組織心理学の重鎮であったマービン・ダネットたちがつくったリサーチ機能も非常に高い会社)−−で半年過ごして、3月に帰国された。

 たくさんの土産話があり、また、このコーナーで書いてもらうとうれしいと思っているのだが、いちばん、わたしがうれしいと思ったのは、人事評価にまつわる20章近い大著を執筆されたことだ。仕上げを経て、今年の間には出る。評価のような大事なテーマで、定評ある論文がなかったので、これは、待望の書になることだろう。
 
 帰国後、3ヶ月強になるが、帰国後のことで、いちばん興味あるのは、高橋さんが、米国の若手の研究者である村瀬俊朗さん(University of Central Floridaの博士候補)と共同で、金井も関与する形で、リーダーシップの新たな診断ツールを開発する決心をし、すでに着手していることだ。

 このツールは、通常のリーダーシップ行動記述尺度よりはるかに興味深いものになりそうだと、わたしは即座に狂喜した。それは、ひとつには、一方で、脳科学に、他方ではラグビーの平尾誠二さんのリーダーシップ持論に根付いていて、他方で、リーダーのとっている行動を記述するのではなく、リーダーとなる(かもしれない)ひとが、どの程度、リーダーシップのことがわかっているかどうかを診断するツールとなるからだ。

 前者のポイントについて。平尾さんは、かねがね、チームリーダーとゲームリーダーとイメージ・リーダーが大事だと言ってこられたら、高橋さんのモデルでは、これにドリル・リーダーが加わっている。この4つは、課題関連と人間関連のリーダーシップの基本軸と、将来志向と現在志向の軸から生まれる四つのセルに対応する。この対応関係が同時に、最新の脳科学の知見ともつながっているのではないかというのが、高橋さんの工夫のひとつだ。

 後者のポイントについては、われわれがこれまでの研究でなじんだ尺度は、ミシガン大学でもオハイオ州立大学でも、さらに、わが国のPM理論でも、通常は、部下評定で、リーダーが実際にとっていると(部下が知覚している)行動を測定してきた。本人に評定してもらうことがあっても、360度フィードバックを通じて、いかに、上司評定、同僚評定、部下評定とずれているかを見るために使われた。実際に、そのリーダーに喜んでついてくるかどうかを問うべき相手は、フォロワーなので、部下評定を、用いて、リーダー行動を測定した。それに対して、この開発予定の高橋さんと村瀬さんの尺度は、リーダー(になるひと)本人が、どの程度、リーダーシップについてきちんとわかっているかを探る。それは、いわば、正解のあるクイズである。リーダーシップについて、予定としては、最終的には40問ぐらいで、次元ごとの10項目で4次元なので40項目の尺度をつくるつもりだが、それは、すべて、正解のある問となる。

 正解があるので、ひとりひとりの回答者は、自分がどの程度、リーダーシップについてわかているかが、4次元について、フィードバックされることになる。もちろん、わかっているからといって行動できると限らない(knowing-doing gapがあるため)けれども、わかっているひとのほうが、正しい行動がとりやすいだろう(行動への一貫性があるとしたらだが)という観点から、正解のあるクイズから、ひとりひとりのリーダーシップの考え方の正しさ、ひいては、もし行動がその考えと一貫していたら、そのひとがどの軸の行動をよりうまくとれいていることをフィードバックできるようになる。

 こうやって、呼び水の文をまず、はじめて、久々に日本に戻ってきて3ヶ月となる高橋さんのお声を、また、このウェブ上のブログで見ていただけたらと願っている。

 このKIMPSを立ち上げたときのパワーだった高橋さんがおられない間、書き込みが少なかったことので、高橋さんの帰朝を機に、また、このリーダーシップ・クイズ開発を契機に、わたしも、高橋さんも、さらにまた、日本にいる間にも、村瀬さんにも、ここへの発信が増えるようにしたい。
posted by: 金井壽宏 | 2009.07.03 Friday | 17:33 |
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posted by: - | 2009.08.06 Thursday | 17:33 |