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posted by: - | 2009.08.06 Thursday | |
リーダーシップ尺度開発中につき
 本ブログ2009年7月3日付金井壽宏先生の記事でかなり詳細な説明をいただきましたが、ただいまリーダーシップの尺度を開発中です。「産政研フォーラム」という雑誌(No.82 pp47−51, 2009)に掲載された記事「リーダーシップと脳」が、今回のリーダーシップ尺度のベースとなっています。じつは、リーダーシップには脳の働きがかかわっていたという、大胆な理論を展開しています。ただいま開発中のリーダーシップ尺度は、このモデルを検証するもの。記事を読みたい方はここをクリック(KIMPSサイトでダウンロードできます)。

http://www.b.kobe-u.ac.jp/~hrm/database/ronbun/bin/bin0907241026510014.pdf

  「産政研フォーラム」というのは聞きなれない雑誌でしょうが、じつは、トヨタグループの労働組合連合がサポートしている中部地域の名門シンクタンク(財)中部産業労働政策研究会(略して中部産政研)が発行しているものです。中部産政研は、わが国の労働研究の中核を担ってきたシンクタンクで、法政大の小池和男先生や東大の藤本隆弘先生や阪大の大竹文雄先生など、わが国を代表する大御所が、トヨタグループのサポートによってリサーチしてきたデータや参与観察に、深く深くかかわっているからあなどれない。

 セントラル・フロリダ大の博士課程に在籍していて、神戸大の特別研究員としてお迎えした村瀬俊朗さんと、関西の若手研究者(関大小野善生さん、滋賀大服部泰宏さんなど)、神戸大大学院生(高瀬進さんなど)の力を結集して、リーダーシップ尺度開発に励んでいます。

 神戸大では、金井リーダーの下、リーダーシップに関するわが国で最高水準の研究・実践機関をめざし、リサーチだけでなく、いろいろな研修サービスの提供、ツール開発、ケースメソッドの提供などを行っていく予定です。神戸方面では、リーダーシップが熱い!

  リーダーシップ尺度のほうも、完成次第、KIMPSサイトにも掲載する予定ですので、ご期待ください。

JUGEMテーマ:ビジネス
posted by: 高橋潔 | 2009.08.01 Saturday | 11:05 |
神戸大,KIMPS,& JMA主催「人材マネジメント・シンポジウム」
神戸大学大学院経営管理研究科、経営人材研究所(KIMPS)、日本能率協会(JMA)が共同し、「創造性喚起のための人材マネジメント・シンポジウム」が200978日に開催されました。

バブル崩壊以降、日本企業を取り巻く経済環境は劇的に変化し、これまでの人事戦略を見直さなければならない岐路に立たされています。資源が少ないわが国で、もっとも豊かだったのが人的資源です。が、ここに来て人材の問題が多く噴出してきています。正社員と非正社員の問題や、派遣社員に頼って業務を遂行する企業構造のあり方。終身雇用・年功序列という人事制度の根幹が揺らぎ、企業は新たな人事システムを模索しています。これからの日本経済と企業の将来を考え、我々がやるべきことは何か。企業は人材に対して何を考え、どう再設計しようとしているか。

本シンポジウムは、人事部門と開発部門を対象にして行われた大規模な調査の結果を基に、神戸大学平野光俊教授、金井壽宏教授、シャープ蠍Φ羈発本部総合技術企画室長米田旬氏による発表と講話、パネルディスカッションが行われました。参加者は
100名を超え、人事部以外に所属する方も多数参加してくださいました。

調査では、300社を超える企業の人事部長と開発部長から協力をいただきました。調査内容は大きく分けて5つ。(1)成果主義がどのように浸透しているか、(2)人事管理の方針、(3)キャリアパスを築く中での職業経験、(4)人事部の役割の変化と米国企業との比較、(5)サーバントリーダーシップ。この5つに焦点を当て、人事部門と開発部門とで、人材に対する考えにズレがあるか、5年前と現在を比較して、日本の人事システムはどう変わってきているか、米国企業の人事システムと対比してどのような違いがあるかを、データに基づいた報告がなされました。

シンポジウムでは、平野教授が調査結果の全体報告、ならびに人事制度がどのように変わってきているかを報告しました。人事部門・開発部門の両方で、成果主義がかなり高い割合で取り入れられていること、成果だけでなく、能力、職務、業績を含め、期首・期中に付加された目標を加味して評価を行っていること、また人事部長には幅広い職務経験が要求されることなどが報告されました。
5年前と比較すると、人事部の役割も変わってきており、部門間の調整や評価・育成の役割以上に、企業戦略を人材面でサポートをする役割が高まっている傾向も見られました。

金井教授は、会場全体に質問を交えながら、活発な対話を引き出していました。人事部に所属している参加者に対して、「人事のお陰で開発部門の創造性が上がるか」という問いを向けましたが、残念ながら、そう思うと答えた参加者はほんの数人。一方、「人に関わることをどう思うか」という質問に対しては、「人に関わる仕事に喜びを覚える」と答えた参加者が多数いました。ほっと一安心。


そして、シャープ蠅諒禿鳥瓩らは、シャープの開発を支えてきた社長直轄の開発プロジェクトである「緊急プロジェクト(略して緊プロ)」について、詳しいお話をいただきました。かの有名な緊プロが、いかにシャープの人材・能力開発に寄与してきたのか、他の企業ではなかなか真似できないシャープならではの伝統と経験に裏打ちされていることがわかりました。


今回の結果報告は、日本企業が人事をどのように考え、実践しているかを知る上で重要です。人事部が人にまつわる業務を行いながら、社内顧客である他部門と対話をくり返すことによって、人事の戦略的役割も増してゆきます。緊プロの例に見られるように、部門間をまたがって対話が生まれることによって、日本企業は更なる開発力と人材育成力を身につけていくのでしょう。
(KIMPS編集部)
posted by: お知らせ | 2009.07.13 Monday | 12:33 |
日本CHO協会「リーダーシップと育成風土研究会」
日本CHO協会が主催する「リーダーシップと育成風土研究会」が、2009年7月9日に、螢僖愁並膾緞楴劵札潺福璽襦璽爐燃催されました。蟷饑呼何融部人材開発室長深澤晶久氏をお招きし、リーダーシップ育成文化についてご講演いただきました。司会は金井壽宏教授、コメンテーターに高橋潔教授という布陣で、参加者数は150名に上り、会場は熱気に包まれていました。

資生堂が実施している研修や人材開発制度の説明だけでなく、ご自身のリーダーシップに対する哲学的考えや、社員育成にあたっての工夫など、大変興味深いお話の内容でした。「研修をする上で重要なことは、明確な目標を持ち、そのためにどのように育成をするかだ」と深澤氏は語っています。資生堂ではまず、求める人材像を明確にし、
3年の長期計画でリーダーシップ研修を実行してきました。今年が3年目ですが、初年度には基本的な意識付けから始まり、2年目にはリーダーシップの習得、そして3年目がリーダーシップの実践。研修には、取締役から第一線管理職まで含めて、合計1,100名が参加し、「リーダーを育てるリーダーとなること」を目標に掲げています。リーダーシップ研修のために作成した前田社長と金井教授との対談DVD。トップ自らが研修講師として登壇するこの研修の中身を知れば、資生堂がリーダーシップ研修にかける意気込みを感じることができます。

研修で疎かになりがちなのは、研修効果の評価測定です。評価方法には
4つのレベルがあります。(1)参加者の反応・満足度、(2)そこで学んだ知識、(3)研修内容を実際の行動に移せるか、そして(4)企業の業績に反映されるか。参加者の満足が高くても、職場に戻ったときに学んだことを発揮できなければ、その研修は意味がありませんが、参加者の満足度を問うだけで終わっている企業が86%にも上るといいます。研修先進国アメリカでも、研修制度の効果をきちんと評価する段階には至っていないのです。

しかし、資生堂においては、参加者の反応と行動レベルの両方で効果を検証しています。研修に対して参加者はどのような態度だったかを、まず問題にします。そして、
360°評価から得た情報を基に、リーダーシップを職場で使っているかを検証しています。結果として、研修対象者の職場でのリーダーシップ評価が、研修前と比べて高くなったといいます。

研究会の最後には、フロア参加者がお互いにグループディスカッションを行い、自分自身が考えるリーダーシップや、その育成の仕方について話し合いました。グループディスカッションを行うことで、会場は一段と盛り上がりを見せました。リーダーシップが企業にとっていかに重要かを改めて考える半日でした。(KIMPS編集部)
posted by: お知らせ | 2009.07.10 Friday | 10:48 |
人事部の役割
JUGEMテーマ:ビジネス
   人事は、「ひとごと」とも読めるが、部下をもつ管理職になって以後、仕事は、部下たちを含め、他の人びととともに成し遂げていくことになるので、もはや、けっしてひとごとではない。
 人事は、ひとごと、というのは、わたしは、語呂合わせは、おもしろいけれど、バッドジョークだと思っています。
 神戸大学大学院経営学研究科では、人事、組織系の教員、また経営戦略や技術マネジメントを研究している教員でも、ひとの成長、発達、とりわけ、経営人材と開発など創造的な人材の育成に強い興味をもつ関心が多くいます。
 そこで、研究科の独自予算から、かなり大きな額をいただいて、人事部長と開発部長を対象に、人事の課題について、体系的に調査する質問票を、一橋大学の守島基博さん、神戸大学同僚の平野光俊さんを中心に実施しました。
 これから詳細な分析に入りますが、記述統計と、いくつかの分析をおこないましたので、一昨日東京で、今日、大阪で、結果のお披露目の会合を、千里ライフサイエンスセンターでおこないまいた。
 学ぶことの多い日でした。
 
 元々、実務界におれた平野さんが、非常に理論的で、ずっと大学にいたわたしのほうが、さほど理論的でもなく、また、データにも忠実でもなく話題提供させてもらってので、実務を知り尽くしたひとが、理論家になるというのは、ほんとうに貴重なことだと関心しました。

 なお、この日のお披露目の会で、参加された皆さんにお渡しした報告書は、つぎのウェブサイトからダウンロード可能ですので、どんな調査をしたのか、興味おありの方は、ぜひそこをお訪ねください。

http://www.b.kobe-u.ac.jp/paper/2009_26.html

 このウェブアドレスから、

「創造性喚起のための人材マネジメント調査」および「開発部門の創造性を支援する人材マネジメント調査」の結果報告
 というペーパーをご覧ください。

posted by: 金井壽宏 | 2009.07.08 Wednesday | 23:51 |
北村三郎さんと3志士、学部金井ゼミ来訪
JUGEMテーマ:ビジネス
   組織文化で博士論文を、神戸大学で書いておられた出口将人さんが、いすゞを訪ねることになった。もう10数年前だろうか。組織文化の研究において、ふつうは目に見えない組織文化が少しは可視的になることがあるとすれば、々臺擦あったとき、⊃型佑房夘や組織のDNAを導入研修で教えるとき、A反イ大きく変わるとき、に注目するのがいいだろうとうことになった。,任蓮銀行の合併、△任蓮▲魁璽廚海Δ戞↓では、いすゞを、調査協力企業とすることになった。

 いすゞへのコンタクトは、ほぼ同時期に、いすゞの人材開発の会社の責任者になられた北村三郎さんに、神戸大学の加護野先生とわたしが、それぞれに別の機会に出会った。たいへんに律儀なことに、分厚い封書が大学に届き、あらゆるコンタクトを大切にしておられることがわかって、感銘したものだった。

 それから、いすゞさんが大きく組織変革するプロセスで、どのようなことがあったのかフィールドリサーチをすることになった。

 出口さんのフィールドリサーチにわたしが同行することもあり、いすゞの専務の稲生さん(後に社長)とゆっくり話す機会や、いすゞの組織変革に、北村さんが招き入れた、かの(長らくスコラの社長をしておられた)柴田さんも、いすゞの組織変革に、オフサイト・ミーティングなど積極的に活用して参加しておられた。

 わたしも、それ以後、何度となく、北村さんと接点があり、ありがたいことだと思っていた。たとえば、『CREO』という雑誌で、人生の師と仰ぐ高砂さんというその雑誌の編集者といっしょに、対談をさせていただいたり、北村さんの会社ができたときのお披露目に、柴田さん、今ではミスミの社長の、三枝さんとごいっしょさせていただいたり、いつも、いつお会いしても、学ぶことが多く、心が和み、元気が増え、気持ちが素直になる、そういうことを実現してくださる方だと、深く感じたものだった。

 しばらく、ブランクがあったのだが、70歳というのは、野球でいえばちょうど7回、ラッキーセブンとおっしゃって、久々に、神戸大学にお見えくださった。
 
 そのときに、五感塾という運動をおこなっていて、中堅、組合、若手まで、その輪が広がったが、まだ、学生さんとは、そういう接触がないので、一度、金井ゼミで特別セッションをとおっしゃっていただいた。

 それが実現したのが、基調な日、2009年6月23日だった。わたしにも、金井ゼミの学生さんたちにも、強烈な印象と教訓を残した。

 北村さんが、70歳、金井が55歳、学生さんたちが、20歳ちょっと、だから、真ん中の世代も巻き込もうということで、北村さんが、30代のすばらしい方々、3名にお声かけをいただき、ダイナマイトのような、神戸大学、学生版、五感塾が実現した。

 われわれ神戸大学金井ゼミには、印象的なことに、その前日の6月22日は、建築家の安藤忠雄先生の講演会が神戸大学で、開かれ、講演会後、金井ゼミの学生と、安藤先生と若手の建築家おふたりがごいっしょしてくださった。その日と連続で、花火に続き、ダイナマイトが六甲台に炸裂したのでした。

 北村さんがお連れになった3名の方々が、どのようなすばらしい方々かは、秘密ではない。また、学生が、この五感塾から気付き学んだことも、秘密ではない。

 それが、北村さんが、さっそくに参加者の生の声も散りばめる形で、ご自分のウェブに、この日の記録を満載してくださったからだ。

 興味をお持ちの方は、ぜひ、つぎをお訪ねください。

http://www2.shizuokanet.ne.jp/usr/sabu/new/090701.html

 登場人物にピンク色がついているところで、30代ゲストのプロフィール。また、感想文とピンク色で書かれているところをクリックすると参加者の感想文がご覧いただける。

 ぜひ、お訪ねを。


posted by: 金井壽宏 | 2009.07.06 Monday | 22:10 |
細川さんのメガリージョンの書評
JUGEMテーマ:ビジネス

『エコノミスト』  誌につぎの書評を載せてもらいました。もうだいぶ前です。

細川昌彦著『メガ・リージョン――人材・企業の争奪戦にどう勝利するか』東洋経済新報社。(評者 金井壽宏)


 境界を越えることにより、新たなつながりを見出し、そのつながりのなかから、自分の独自性に気付き、より大きなシステムに貢献できる姿に育て上げる。こんな大事な発想を企業の発展だけに使うのはもったいない。地域や国の発展にも今、人やモノをつなげる力が求められている。それだけに境界と境界を結ぶ存在、いわば“結界人”が求められる時代になっている。

 著者は、通産省の官僚だった25年前に「東京国際映画祭」を仕掛けた人物である。その後、名古屋経済圏を統一ブランドとして海外に売り出す「グレーター・ナゴヤ・イニシャティブ」を提唱、さらにニューヨークで「日本食文化フェスティバル」を手掛けるなど、世界に向けて日本を発信してきた。本書は著者が結界人となることで生まれたと言っていいだろう。

 表題の「メガ・リージョン」とは、「大都市を中核とした1つの経済圏」のことで、カリフォルニアのシリコンバレーをはじめ、世界には40のメガ・リージョンがあるという。著者は、今後は国ではなく、こうした地域間の大競争時代になると予測し、海外の動向と日本の4大メガ・リージョン──東京、名古屋、京阪神、北部九州圏の可能性を探る。

 行政、地域、ビジネスの3つを有機的に結びつけ、広域経済圏を作るという発想は、集積の経済やソーシャル・ネットワーク論などに詳しい人には、おなじみの概念かもしれない。しかし評者は、著者が特定の視点にこだわるより、実践に役立つかという観点から、「虫の目、鳥の目、魚の目」(あとがき)を駆使しつつ、複眼的思考をしていること、そして思考するだけでなく、実践していることを重んじたい。

 それだけに本書の主張は説得的である。たとえば、日本の自動車産業の中心地、名古屋については、「『内なる国際化』が遅れている」と指摘。将来は「アジアの技能人材を育成する拠点」を目指し、ポスト自動車の布石としては航空機産業とロボット産業に着目せよと述べる。九州についても、工業地域として伸び悩む北部の課題を明らかにする一方、南部が一丸となって安全な食品を売り出す「食アイランド・九州」を提案。企業や人材の獲得法にも章を割き、「大学学長のプロ野球監督化」や外国人に優しい地域づくりなど、有益な提言をしている。

 地域に根ざしながら、ワールドクラスの活動を目指す実践家、またそれを支える調査を担う研究者に必携の書である。



★実際に掲載されたのとは、違うつぎのバージョンもあります。


 境界を越えることにより、新たなつながりを見出し、そのつながりのなかから、自分の独自性に気付き、より大きなシステムに貢献できる姿に育て上げる。こんな大事な発想を企業の発展だけに使うのはもったいない。地域や国の発展にも今、人やモノをつなげる力が求められている。それだけに境界と境界を結ぶ存在、いわば“結界人”が求められる時代になっている。

 著者は、通産省の官僚だった25年前に「東京国際映画祭」を仕掛けた人物である。その後、名古屋経済圏を統一ブランドとして海外に売り出す「グレーター・ナゴヤ・イニシャティブ」を提唱、さらにニューヨークで「日本食文化フェスティバル」を手掛けるなど、世界に向けて日本を発信してきた。本書は著者が結界人となることで生まれたと言っていいだろう。

 表題の「メガ・リージョン」とは、「大都市を中核とした1つの経済圏」のことで、カリフォルニアのシリコンバレーをはじめ、世界には40のメガ・リージョンがあるという。著者は、今後は国ではなく、こうした地域間の大競争時代になると予測し、海外の動向と日本の4大メガ・リージョン──東京、名古屋、京阪神、北部九州圏の可能性を探る。

 行政、地域、ビジネスの3つを有機的に結びつけ、広域経済圏を作るという発想は、集積の経済やソーシャル・ネットワーク論などに詳しい人には、おなじみの概念かもしれない。しかし評者は、著者が特定の視点にこだわるより、実践に役立つかという観点から、「虫の目、鳥の目、魚の目」(あとがき)を駆使しつつ、複眼的思考をしていること、そして思考するだけでなく、実践していることを重んじたい。

 それだけに本書の主張は説得的である。たとえば、日本の自動車産業の中心地、名古屋については、「『内なる国際化』が遅れている」と指摘。将来は「アジアの技能人材を育成する拠点」を目指し、ポスト自動車の布石としては航空機産業とロボット産業に着目せよと述べる。九州についても、工業地域として伸び悩む北部の課題を明らかにする一方、南部が一丸となって安全な食品を売り出す「食アイランド・九州」を提案。企業や人材の獲得法にも章を割き、「大学学長のプロ野球監督化」や外国人に優しい地域づくりなど、有益な提言をしている。

 地域に根ざしながら、ワールドクラスの活動を目指す実践家、またそれを支える調査を担う研究者に必携の書である。

posted by: 金井壽宏 | 2009.07.03 Friday | 18:34 |
安藤先生の書籍の書評
JUGEMテーマ:ビジネス
 

『エコノミスト』誌 書評記事より 安藤忠雄著『建築家 安藤忠雄』新潮社。(評者 金井壽宏)

 

 世界を旅した後、独学で建築を学び、人生やキャリアそのものが旅だとも述べてきた建築家、安藤忠雄の自伝である。これまでの著作でも、建物の背後にある想いを語るときには、自伝的語りを伴っていたが、本書も世に生み出してきた作品との関連で自分を語り、そのときどきの感情、思考などを吐露。読む人に鮮烈な生命力と熱い闘争心、そして人と人とのつながりや共同体の大切さを教えてくれる。

 安藤は建物に住む人がいて、住む人は共同体のなかに生きていて、それゆえ建築とは社会的な生産行為だと看破。形だけの引用、模倣を排し、伝統とは形そのものではなく形を担う精神であると言う。安藤は建築を成り立たせる社会の仕組みまで踏まえつつ、創造性を磨いてきたのである。

 初期の「住吉の長屋」から、最近の東京での「海の森」まで、全作品が闘いであり、運動の結果であった。社会のなかの運動なので、新規のアイデアは衝突を起こす。それだけに、実際には「建たなかった」プロジェクトがとても大切にされる。

 かつて、創造の原動力についてお伺いしたときに「怒り」だと言われたので、「怒りを原動力にしていい仕事をされる人はまれだとも思うのですが?」と恐る恐るお聞きしたところ、「怒りは怒りでも、こんな空間の使われ方は承知しないぞという社会性を帯びた怒りなんだ」と言われたのを、この本を読みながら思い出した。建たなかったプロジェクトが続いても、その連戦連敗そのものが闘いであり、運動であることが、本書から伝わってくる。

 評者の勤務する神戸大学で昨年講演をお願いしたときには、本書の第1章で披露される組織づくりについて語ってくださったが、「リーダーシップは暴力です」と吐露された。ジョークではなく、この表現で闘うことを忘れた日本のリーダーに警鐘を鳴らされたのだと思う。

 また、創造的行為は孤独であると勘違いし、人とつながる力を活用しないで創造性を発揮できない人がいる。ぜひ、本書を通じて、創造性がいかに、共同体、子供、クライアント、行政などとの関係性のなかで発揮されるかを感知したいものだ。

 闘わないことから生まれる脆弱な関係性より、賛否両論があっても闘い続け、建物が実際に建っても企画だけに終わっても、前進し続ける。良質な怒りや闘争心があるべきなのに、それを忘れがちな評者には、本書は劇薬のように効く。座右の書にすべき、破格の自伝だ。

posted by: 金井壽宏 | 2009.07.03 Friday | 18:30 |
安藤忠雄先生 神戸大学に来たる すごいパワー
JUGEMテーマ:ビジネス
   7月22日に、建築家の安藤忠雄先生が、神戸大学で学生さん向けに講演をされて、すばらしい夕刻を過ごすことができました。
 建築の話ももちろん最高なのですが、この日は、関西の元気、日本の元気、ひいてはわたしたちがいkている時代のこの世界と将来の元気のために、明日の活力の鍵を握る、学生さんたちにエールを送り、かつを入れるために、お越しくださった。1時間10分はご講演、35分は金井と対談、残りの15分は、学生さんとの質疑であった。
 日本への心配、教育のあり方への問題提起、学生さんへのはっぱかけ、随所で、「ほとんど絶望的です」と言葉を繰り返されながら、学生に、このままではいかんというエナジャイズ(元気づけ)をやっていたただいた。
 こちからお願いしたのではなく、ご懇意にさせていただき、また、そのミリタントな姿勢にいつも感激する安藤先生から、直々に金井宛に連絡があり、ほかの大学も訪ねるつもりだけど、神戸大学でも若いひととの対話をしたいということでした。

 質疑のときには、3名の学生さんから、23歳からの世界旅行のときに最も感動した場所はどこかとか、建築家になりたいと思うことと絶対なる決心することの間を埋めるものはなにか、など深く考えさせられる質問に、安藤先生らしく軽妙に答えられた。

 430席の会場に、演壇の周囲と、通路と、入り口付近にも学生さんに入ってもらったので、たぶん550名ぐらいがこられました。すばらしい機会でした。

 そして、大教室だけだと、しっかり対話は難しいので、金井ゼミの学部3年4年のゼミ生と一部金井ゼミ院生には、場所を移して、(昼間は教員食堂)となっているところで、40分ほど、談笑させていただいた。

 知的パワーと想像力のダイナマイトが炸裂したような日でした。

 安藤先生の最新著を、『エコノミスト』誌に書評させていただいたので、それも、ブログにあげさせてもらいます。

 いつもお世話になっている同誌の編集者には、週刊紙なので、掲載後2週間以後経っていれば、ブログにあげてもいいと承諾をえております。念のため。

 あわせて、中学高校からの友人で、経産省、JETRO、中部経産局、大学教員を経て、名古屋市長選でも善戦した、細川さんの著書の書評などもアップします。

 興味あるひとは、安藤さんの書評だけでなく、そちらもご覧ください。
posted by: 金井壽宏 | 2009.07.03 Friday | 18:11 |
リーダーシップ・クイズ開発に乗り出す高橋潔さんにエール
  高橋 潔さんが、英国エディンバラでの1年、古巣のミネソタ大学のある米国ミネアポリス(かの3Mの本社もある都市)のPDI社−−産業組織心理学の重鎮であったマービン・ダネットたちがつくったリサーチ機能も非常に高い会社)−−で半年過ごして、3月に帰国された。

 たくさんの土産話があり、また、このコーナーで書いてもらうとうれしいと思っているのだが、いちばん、わたしがうれしいと思ったのは、人事評価にまつわる20章近い大著を執筆されたことだ。仕上げを経て、今年の間には出る。評価のような大事なテーマで、定評ある論文がなかったので、これは、待望の書になることだろう。
 
 帰国後、3ヶ月強になるが、帰国後のことで、いちばん興味あるのは、高橋さんが、米国の若手の研究者である村瀬俊朗さん(University of Central Floridaの博士候補)と共同で、金井も関与する形で、リーダーシップの新たな診断ツールを開発する決心をし、すでに着手していることだ。

 このツールは、通常のリーダーシップ行動記述尺度よりはるかに興味深いものになりそうだと、わたしは即座に狂喜した。それは、ひとつには、一方で、脳科学に、他方ではラグビーの平尾誠二さんのリーダーシップ持論に根付いていて、他方で、リーダーのとっている行動を記述するのではなく、リーダーとなる(かもしれない)ひとが、どの程度、リーダーシップのことがわかっているかどうかを診断するツールとなるからだ。

 前者のポイントについて。平尾さんは、かねがね、チームリーダーとゲームリーダーとイメージ・リーダーが大事だと言ってこられたら、高橋さんのモデルでは、これにドリル・リーダーが加わっている。この4つは、課題関連と人間関連のリーダーシップの基本軸と、将来志向と現在志向の軸から生まれる四つのセルに対応する。この対応関係が同時に、最新の脳科学の知見ともつながっているのではないかというのが、高橋さんの工夫のひとつだ。

 後者のポイントについては、われわれがこれまでの研究でなじんだ尺度は、ミシガン大学でもオハイオ州立大学でも、さらに、わが国のPM理論でも、通常は、部下評定で、リーダーが実際にとっていると(部下が知覚している)行動を測定してきた。本人に評定してもらうことがあっても、360度フィードバックを通じて、いかに、上司評定、同僚評定、部下評定とずれているかを見るために使われた。実際に、そのリーダーに喜んでついてくるかどうかを問うべき相手は、フォロワーなので、部下評定を、用いて、リーダー行動を測定した。それに対して、この開発予定の高橋さんと村瀬さんの尺度は、リーダー(になるひと)本人が、どの程度、リーダーシップについてきちんとわかっているかを探る。それは、いわば、正解のあるクイズである。リーダーシップについて、予定としては、最終的には40問ぐらいで、次元ごとの10項目で4次元なので40項目の尺度をつくるつもりだが、それは、すべて、正解のある問となる。

 正解があるので、ひとりひとりの回答者は、自分がどの程度、リーダーシップについてわかているかが、4次元について、フィードバックされることになる。もちろん、わかっているからといって行動できると限らない(knowing-doing gapがあるため)けれども、わかっているひとのほうが、正しい行動がとりやすいだろう(行動への一貫性があるとしたらだが)という観点から、正解のあるクイズから、ひとりひとりのリーダーシップの考え方の正しさ、ひいては、もし行動がその考えと一貫していたら、そのひとがどの軸の行動をよりうまくとれいていることをフィードバックできるようになる。

 こうやって、呼び水の文をまず、はじめて、久々に日本に戻ってきて3ヶ月となる高橋さんのお声を、また、このウェブ上のブログで見ていただけたらと願っている。

 このKIMPSを立ち上げたときのパワーだった高橋さんがおられない間、書き込みが少なかったことので、高橋さんの帰朝を機に、また、このリーダーシップ・クイズ開発を契機に、わたしも、高橋さんも、さらにまた、日本にいる間にも、村瀬さんにも、ここへの発信が増えるようにしたい。
posted by: 金井壽宏 | 2009.07.03 Friday | 17:33 |
4.人事管理の変化
次に,グループ経営戦略に適合的な人事制度を,どのようにして設計するのかをお話したい。みなさん方の間では成果主義が流行り言葉となっているが,なぜそうなったのだろうか。

日経新聞に成果主義という言葉がはじめて登場したのは1992年。2000年には113件と急増した。バブル崩壊以降のデフレ不況下で,日本型HRMに対する閉塞感が蔓延した。その内実は人件費のコスト構造を柔軟につくりかえられないということである。生産基地としての中国などアジア諸国の台頭によって,日本企業のコスト優位性がなくなったのにも関わらず人件費が高止まりしていることへの苛立ちであった。コスト構造を変化させるための制度が成果主義だった。

成果主義を強めたほとんどの企業は,対外的にも内向きにも,コスト削減としての成果主義の意義を強調しない。賃金を下げたいという目的が第一義であると社員の納得が得られないからだ。また本質的にも,コスト削減を目的にしても成果主義はうまく機能しないだろう。成果主義は戦略からブレークダウンされる役割から創出されるアウトプット(成果)の市場価値を,組織内部の人材価値に接合させていくことに,本質的な意義がある。しやがって成果主義は戦略との関係からもっと広い文脈でとらえていく必要がある。そこで,SHRM(Strategic Human Resource Management)という考え方を紹介したい。

戦略的人的資源管理(SHRM)

SHRMにはa,b,cの3つのタイプがある
‥合モデル
a.垂直的適合:経営戦略とHRMの一貫性を追求。
b.水平的適合:HRM施策間の一貫性とシナジーを追求。
▲灰潺奪肇瓮鵐肇皀妊
c. HRM施策のベストプラクティスの編成により,社員のコミットメントを引き出す。

上位の戦略によって人事戦略を適合的に設計すると考えたのはマイルズ=スノウ であるが,彼らが考えた「適合」(fit)とは人事管理のあり方は企業戦略によって規定されるというものだ。そこでは,企業戦略が3つに分類されており,それぞれに適合的なHRM戦略が採用されるという。すなわち,プロスペクター戦略 の場合は購買型HRMであり,防衛戦略の場合は育成型HRMが適合的であるという 。ここで成果主義人事の本質をSHRMの視点からまとめると次の4点を達成することが課題となる。

.轡好謄爐料軋里箸靴討HRMを経営戦略と整合させること。
⊆勸全体を対象にコミットメントを引き出すこと。
HRMのベストプラクティスを学習し編成すること。
じ帖垢凌融システム間の整合をとりシナジーを発揮すること。



社員格付け制度の改革

上記を達成は,人事制度のサブシステムでなく,本丸である基本システムを変えなくてはおぼつかない。それが社員格付け制度改革である。これはパソコンのOSにあたり,ここを変えると全てのシステムを整合的に変える必要がある。近年は多くの企業が実際にこの格付け制度の変更に着手している。

社員格付け制度には,人を基準にした年功資格制度や職能資格制度と,仕事が基準の職階制度と職務等級制度とがある。今回の参加企業においても,職能資格制度を導入している会社は2社しかなく,職務等級制度の会社のほうが多い。つまり多くの日本企業はかつての職能資格制度を職務等級制度に変えつつある。



職能資格制度では,人事部に情報が集約化され,全体的なインターナルバランス(甘辛具合)を基に格付けを決定し,人事部が公平性や秩序の維持に貢献する。
職務等級制度では,あらかじめ全社的に決められた職務価値基準にそって事業部門のマネジャーが格付けを行う。これは思想の転換であり,本社から現場のマネジャーに職務価値を格付けする権限が移行する。

職務等級制度を採用している外資系メーカーA社や最近職能資格制度から職務等級制度に改革したB社の事例からも分かるように,人事部の役割が変わっていく。



(平野光俊)
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posted by: NOMA第3期人材マネジメント研究会 第5回定例会報告 | 2008.06.04 Wednesday | 10:48 |